チベット・ファウンデーションによる
経過報告


●支援金の寄付について●

 1996年2月、チベット・ファウンデーションが寒波に苦しむ遊牧民たちへの支援に対する緊急アピールを開始して以来、チベット・ファウンデーションが運営してきた「チベット支援」計画基金(Aid to Tibet Programme)及びチベット・ファウンデーションのアピールに賛同いただいたその他の団体から合計で195,292ポンド(約4,000万円、250万中国元)が集まり、これをチベットに送金いたしました。
 このうち、チベット・ファウンデーションに直接お寄せいただいた支援金は55,992ポンド(約1,159万円)であり、この金額の中には皆様の“Save the Nomads!”プロジェクトから頂いた8,203ポンド(注・97年5月分まで。約170万円)も含まれております。
 これにあわせてスウェーデン政府からは、我々の呼び掛けに応えて、14万ポンド(約2,898万円)の支援が拠出されました。
 これらの支援金は、チベット・ファウンデーションがロンドン本部から担当者を派遣し、その監督のもとで遊牧民の元に届けられております。96年6月にはカルマ・ハーディーが、同年11月にはプンツォ・ワンギャルが、97年2月にはケイト・パターソンが現地に派遣され、監督の任に当たっております。具体的な使途は以下のとおりです。

使用金額全額(1997年5月現在) 195,292ポンド(約4,043万円)

チベット・ファウンデーションから
家畜購入・引渡し 22,072ポンド(457万円)
食糧・衣服 13,200ポンド(273万円)
衛生・教育 18,250ポンド(378万円)
運送費 1,770ポンド(37万円)

スウェーデン政府から
家畜購入・引渡し 140,000ポンド(2,898万円)

 現在までに、支援金は6,650人の遊牧民の生活を直接支援できました。メスのヤク(1頭62ポンド、約12,800円)を2,614頭購入し、寒波で生活の糧の家畜を失った654世帯に引き渡されました。41,667kgの穀物(1kg=0.24ポンド、約50円)が約3,380人の遊牧民に配布されました。また、3,200ポンド(約66万円)分の衣服が困窮している遊牧民の子供たちに届けられました。


●最近の状況●

 現地に派遣されたチベット・ファウンデーション職員によれば、寒波で雪目になったり、凍傷になった遊牧民については、全て治療がなされております。また、160人の遊牧民の身体に障害が残りましたが、チベット・ファウンデーションや現地政府の援助で、衣服、食糧が支給され、治療も行われています。
 未だに支援が必要な遊牧民は1万人程度と考えられます。最小限満ち足りたと言える生活を遊牧民一家が送るためにはメスのヤク3頭と10頭のメス羊、またはメスヤク4頭が必要と考えられます。このような支援が必要な遊牧民は、交通の不便なザチュカのガイェ、チョンサ・ガルマ、ギャモン、チャイウーといった郷(日本の「村」に相当)に集中しています。支援が開始された当初から、家畜の購入・引き渡しはこの地区を中心に行ってきました。生活苦による借金が膨れあがり、伝統的な遊牧生活を捨てざるを得ないという状況に陥るのを防ぐためです。

家畜引渡し
 ザチュカ地区には23の郷がありますが、以下の4つの郷は最も交通が不便で、最も高地にあります。チベット・ファウンデーションはこれらの郷に支援を集中するよう依頼されています。
 ガイェ郷は人口4,333人で、2,989頭のメスヤクが必要です。
 チョンサ・ガルマ郷は人口2,884人で1,990頭のメスヤクが必要です。
 ギャモン郷は人口2,609人で、1,800頭のメスヤクが必要です。
 チョワン郷は人口1,643人で、1,133頭のメスヤクが必要です。
 チベット・ファウンデーションは合計7,902頭のヤクの購入・引渡しを要請されています。

衛生・教育
 衛生・教育水準の向上は地元政府や我々からみても、必要不可欠です。これは地域全体に対する長期的な観点からの投資となります。
 先の寒波被害の中で、今後対応が必要なことが明らかになった問題点として、医薬品の供給が不十分なこと、きちんとした資格を持った医者が地区で足らないこと、遊牧地域では医療・衛生施設がほとんど存在しないこと、遊牧民が応急措置のやり方を知らず、また健康管理についての知識もないこと、があります。また、遊牧民にとっては、治療が必要にもかかわらず、医療施設までの長い道のりを行けないこと、医薬品が底をついた地区が多いこと、等から治療を受けられなかった、ということが判りました。


●チベット医学病院●

 このような問題点をふまえて、ザチュカの地元政府との協力の元、チベット・ファウンデーションでは「ザチュカ地区衛生計画」を開始しました。中国政府がザチュカ地元政府に対して100万中国元(約1300万円)を拠出しました。これにより、ギュルガ・チベット医学病院が建設され、20人の医師が勤務するようになりました。
 このギュルガ・チベット医学病院を拠点として、チベットの伝統医薬品の管理・運営も始まりました。チベット・ファウンデーションの支援の元で、チベット医薬品製造センター(地元で栽培されたチベットの薬草や薬木を利用しています)やチベット医学学校も開設されました。チベット・ファウンデーションでは2,600ポンド(約54万円)を支援し、薬品の製造器械の購入に充てました。地区で必要な薬品を製造することで、初年度には2万人の患者の治療を行う目標を立てています。
 また、交通の不便な地域にもチベット医学病院・学校を建設する計画もあります。

チベット・ファウンデーション代表 プンツォ・ワンギャル(英国・ロンドン)

※原文は英文。"Save the Nomads!"プロジェクトが翻訳を行なった。 ※1英ポンド=207円として換算